1, 看板の「安全」が支えるもの     

 

「企業の顔」には、安全が重要

看板とは、企業や店舗等のシンボルであり、消費者に対してブランドや商品などのメッセージを伝えるコミニケーションの道具です。ブランドとは、自社と競合相手との製品やサービスの違いを明確にするためのシンボルマークやロゴを指すほか、企業の経営理念やマーケティング戦略に基づく企業活動全体が提供する「価値」を象徴するものとして、経営者の多くが関心を持っています。公共空間の中で、企業等のブランドメッセージを伝える看板が「企業の顔」といわれるゆえんでもります。看板が企業等の製品やサービスの「信用・信頼」、「ブランド」、引いては企業の「収益」を支えていくためには、看板の「安全」は決して忘れてはならないものです。

2,看板を軽んじると、失うものは計り知れない

「もしも、看板が落下し、人にけがをさせるようなことになったとしたら・・・・」「もしも、看板が汚れていたり、照明が消えていたり、したら・・・・」、お客様の企業等への評価が低下するばかりか、従業員のやる気、士気も損なうことになるでしょう。コスト削減を追及する余り看板を軽視すれば、失うものは計り知れません。

3,さまざまな看板

看板には、設置目的別に企業や店舗等の敷地内い設置する「白家広告物」のほか、敷地外に設置し企業や製品、サービス等をPRする「一般広告物」、沿道に設置し案内するための「道標・案内図版」などあります。また、看板の形態によっても、下図のように様々な種類があります。各自治体の野外広告物条例では、設置目的や形態に応じたルール(設置基準)などを定めています。(形態ごとの呼称は自治体によって違う場合があります)

 

4,守るべき看板ルール

野外広告物を設置する際は、各自治体の野外広告物条例や関係法令を遵守しなければなりません。法令を遵守し、市民生活の安全を守ることは企業や店舗等の社会的責任です。また、関係法令は多岐に渡り全てを把握することは困難な場合がありますので、詳細は自治体に確認が必要です。

(1)屋外広告条例

都道府県や市町村が屋外広告物法に基づいて定めた屋外広告物のルール。屋外広告物を設置する際には、事前に申請し許可を得なければなりません。また、設置工事は各自治体に屋外広告登録がある業者に依頼が必要です。

(2)建築基準法

①工作物確認申請(建築基準法第88条)

看板の高さが4mを超えるもの(袖看板、壁面看板、建植看板、屋外看板、アーチ看板等)は、工作物確認申請による構造の審査が必要です。

②防火地域内の規制(建築基準法第66条)

防火地域内にある看板、広告等で、建築物の屋外に設けるもの、又は高さ3mを超えるものは、主要部材を不燃材料で造るか、又は不燃材料で覆わなければなりません。

(3)景観法・景観条例

景観に関する指定地区に設置するものや大規模建築物の壁面等に設置するものには、大きさ、高さ、色彩等の基準がある場合があります。

5,看板の「安全」を脅かすもの

(1)自然環境による原因

看板は雨や風、強い日射しなどの厳しい自然にさらされています。また、台風の強大化、ゲリラ豪雨、竜巻、極端な高温などの異常気象も脅威です。

①雨  酸性雨による金属の腐食が進み看板の劣化が加速するほか、ゲリラ豪雨による、看板内部に水が回り込み漏電を起こすことがある。金属の電食を進める場合も。

②風  強風による袖看板や盤上式ポール看板などの接合部分が破損し、本体が落下するほか、竜巻で看板がなぎ倒されたり、破損したりする。

③気温 極端に高温な気温では、電材の劣化を促進させたり、自然発火による火災につながることがある。熱膨張によりアクリル板面が歪み枠から外れ落下することも。

④塩害 潮風の影響で、鉄骨のサビや樹脂の劣化が激しくなる。

⑤雷  数m以内に雷が落ちると看板に過電流が流れて火災になる事がある。

⑥雪  看板に積もった雪の重みで破損。雪解け水が老朽化した看板のひびや穴などから内部に侵入し、腐食する事がある。

⑦地震 震度5強の揺れでは、壁や天井にひびが入りアンカーの強度が落ちる

(2)人為的な要因

設計、施工不良を防ぐには、信頼できる専門業者を選ぶ事が大事です。

①設計不良 強度の計算のミス等により、十分な強度が得られないもの。

②施工不良 設計図通りに施工されない等により、十分な強度を得られないもの

(3)経年劣化による要因

老朽化した看板は、事故のリスクが増加します。専門業者に依頼して内部の構造まで詳細に点検し、補修、取替え等の対策を行いましょう。

①塗膜の劣化 紫外線、熱、雨(酸性雨)等の影響により劣化し、腐食する。

②金属疲労  個体金属材料が長時間に渡り繰り返し力を受けた結果、亀裂が生じたり、強度の低下したりする。

③経年プラスチックの脆化 長時間に使用しているアクリル面板などが、紫外線などの影響でももろくなり、飛散、落下することがある。